セミナー

2020.03.09

「HACCPナビ リリース記念セミナー」 (2020年1月27日) セミナーレポート

「HACCPナビ」のリリース記念セミナーを、三菱総合研究所で開催いたしました。
食品メーカー、卸・小売事業者、外食事業者の皆様をはじめ、食品安全にかかわる専門家約70名の方にご出席いただき、盛況を博しました。以下の通り、当日の状況をご報告いたします。

来賓挨拶

来賓挨拶の様子 農林水産省大臣官房審議官(兼食料産業局) 道野英司氏

まず、来賓挨拶では、農林水産省大臣官房審議官(兼食料産業局)道野英司氏より、今回の食品衛生法改正の経緯と、その中で議論されてきた中小企業支援について、ご説明頂きました。道野様は厚生労働省より昨年7月に農林水産省へご異動され、現在は大臣官房審議官兼食料産業局を拝命されており、厚生労働省の審議官も兼任されています。
HACCPの制度化自体は、政府において4年ほど前から検討が進められており、その検討内容の大半がどの様に中小企業対策をしていくかに費やされてきたとのこと。HACCPを導入していくうえで特に重要なことは、科学的根拠に基づいた食品衛生管理を効率的・効果的に行うことですが、ヒト・モノ・カネ・情報と様々な側面から制約のある中小企業に対して、その取り組みを支援するサービスが今後広まっていくことへの期待を述べられました。

基調講演Ⅰ:「HACCP制度化の狙いと制度化の次に来るもの」
~海外における食品安全分野のホットトピックをご紹介~

基調講演Ⅰの様子 山口大学共同獣医学部 教授 豊福肇氏

一つ目の基調講演では、CODEX等の国際会議のご経験が豊富であり、海外における食品安全行政にも精通する、山口大学共同獣医学部の豊福肇教授より、今回のHACCP制度化の狙いと、その先に想定される食品安全の世界的な動向についてご説明頂きました。
近年の国際動向として、現在の食品安全に関するCODEX文書が、2020年に改訂される見込みであるとのご説明がありました。食品安全管理における「トップマネジメントのコミットメント」や、「食品安全文化(Food Safety Culture)」の思想が重視されるようになっているとご紹介いただきました。
また、近年FAO(国連食糧農業機関)で検討されている内容として、”Future for Food Safety”の内容をご紹介されました。今後日本でも検討課題となるであろう海外のホットトピックとして、一次生産における衛生管理や、新しい技術の活用について解説がありました。欧米では、一次生産における衛生管理に関する制度はある程度確立しているが、日本においては未だ検討の途上にあり、どの範囲・程度までの衛生管理が一次生産に求められるかが今後の検討課題になる、とのこと。また、新技術の導入に関しては、ビッグデータ加工、ブロックチェーン技術、ゲノム編集等の技術を活用することで、食品安全をいかに改善していくか、海外では既に議論が始まっている、といった話題をご紹介いただきました。

基調講演Ⅱ:「JFS規格の現状とこれから」
~民間認証を活用して、食品安全をもっと身近で取り組みやすいものに~

基調講演Ⅱの様子 食品安全マネジメント協会 事務局長 大羽哲郎氏

二つ目の基調講演では、一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)事務局長の大羽哲郎氏より、同協会が認証プログラムオーナーを担う、日本発の食品安全マネジメント規格「JFS規格」のご紹介と、今後の取り組みの展望についてご説明頂きました。
海外では、HACCPを取り入れた食品安全マネジメントに関する民間認証が1990年代から登場してきた中で、日本では2016年にJFSMが設立されると同時にJFS規格がリリースされました。JFS規格はA, B, Cの3つのレベルで規格が設けられており、個々の食品事業者は、自身のレベルに応じて認証あるいは適合証明を取得するとともに、徐々にステップアップできるような仕組みとなっています。一番レベルの高いJFS-Cは、食品安全の国際標準化を推進する業界団体であるGFSI(Global Food Safety Initiative)に承認され、国際規格となっています。また、規格がカバーする業種も、フードサービス関連や物流関連など徐々に広げられているとのこと。
HACCPは、生物的、化学的、物理的ハザードを分析するものですが、それだけの知識を持って、自身の食品製造プロセスを分析することは、個々の事業者にとっては負担であり、そのための人材育成も今後課題となるとのこと。そのため、JFSMとしても、食品安全をもっと身近で取り組みやすいものにしたいと述べられました。

講演:「”HACCPナビ”の目指すもの~現状のご紹介と今後のビジョン~」
~日本における食品安全のレベルアップ、食品業界の競争力向上を目指して~

講演の様子 三菱総合研究所 主席研究員 氷川珠恵

セミナーの最後には、株式会社三菱総合研究所の氷川珠恵主席研究員から、HACCPナビの概要と、将来の展望をご説明しました。
HACCPナビは、最初に事業の着想を得てから、食品メーカーや卸・小売、外食事業者、学識者や公的機関等、食品安全にかかわる数多くの方々に助言・サポートを頂きながら、ようやくこの度のリリースに至りました。食品安全マネジメントに関する文書の作成・管理において、どの様なユーザーインターフェースにすれば使い勝手が良いか、科学的根拠や規制・法令動向の情報、海外の動向等、作成・管理プロセスで事業者にニーズがあるものは何か、等、一つ一つご指導いただくことで、システムの改善を進めてきました。
その中でポイントとしているのが、ユーザー自身による(食品安全管理の本質に関わらない)手間をなるべく減らし、効率的、効果的な食品安全管理の実現を支援することです。
今後も、このコンセプトを維持しながらサービスの改善・拡充に努めていきます。例えば、自社でもともと作成・管理していた情報の取り込み、他システムとのデータ連携、ハザードデータの拡充、専門家同士の交流機能、AIを活用したHACCPプラン評価・作成支援機能、IoTを活用したモニタリング情報の自動収集等も将来的には手掛けていきたいと考えています。

三菱総合研究所とアイネスは、食品安全に関わる様々な方々と引き続き連携させていただきながら、HACCPナビを食品事業者の方により使いやすいものにし、日本の食品安全のレベルアップ、日本の食品業界の競争力強化に貢献すべく、チャレンジして参ります。

以上